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けしょうどうぐ(せいようへん)
定義 Click
 西洋における化粧道具とは、肌の手入れやメイクアップに用いる道具、化粧料を入れる容器全般を指す。たとえば古代においては、鏡、櫛、香油瓶をはじめ垢すり、軟膏入れ、コール壺とコールスティック(アイメイク容器と道具)、スプーンと皿(化粧料を混ぜる)、化粧箱などであった。化粧道具は、化粧料の形態や機能の変化にともない、変遷を重ねて今日に至る。
歴史
 現在発見されている化粧道具の古いものには、紀元前40~30世紀頃の古代エジプトのものもある。「古代エジプトの遺跡では、鏡、櫛、香油瓶のほか化粧料を混ぜるためのパレット、目のまわりに塗るコール(日差しや砂埃によるダメージを防いだ)を入れるための壺が発見されています。また、上流階級の女性は、召使いに化粧箱を運ばせてメイクアップをしていたようです」(ポーラ文化研究所 津田紀代さん)紀元前5世紀頃に栄えた古代ギリシアでも、鏡と櫛のほか香油瓶や化粧箱が使われていた。「1世紀前後に最盛期を迎え、古代ギリシアの影響を受けていたとされる古代ローマでも、鏡や櫛、香油瓶、化粧箱を使っていたようです」(津田さん)
 5世紀以降、中世に入ると化粧道具に関する資料は減少する。「中世末期からルネサンス期にかけて、化粧箱が王侯貴族の間で流行します。16世紀のフランス王フランソワ1世の購入品一覧には、豪華な化粧箱が記載されています。また、イングランドの女王エリザベス1世が、“かぐわしい化粧箱”を考案したとも伝えられています」(津田さん)18世紀に入ると、貴族の間でメイクは当然の身だしなみとされるように。寝室のテーブルに鏡をのせ、まわりに化粧道具を置いて身支度をしたほか、外出の際は化粧箱を持ち歩くようになる。化粧箱の中には鏡や香水に加えてパッチというつけぼくろや口紅を入れるようになり、パッチを携帯するためのパッチボックス(キーワード参照)も登場する。
左:パッチというつけぼくろと、パッチをつける道具を入れたパッチボックス。箱の上部がパッチ入れで、蓋の裏には鏡がついていた。中にはピンセットやはさみ、香水などを収める。

右:高く髪を結う女性を揶揄した風刺画。手鏡や香水のような化粧道具が置かれた机は、現代の鏡台にあたる家具。両脚で鏡が固定され、角度を前後に自由に変えられるようになっていた。

「化粧箱はフランスでは必需品を意味するネセセール、イングランドでは装いの箱という意味でドレッシングケースと呼ばれており、身だしなみを整えるための必需品だったことがうかがえます」(津田さん)
 18世紀末には、商業で富を蓄えた一部の市民がブルジョワジーと呼ばれるようになり、王による支配政治や王侯貴族による富の独占に抵抗。ついにはフランス革命を始め各地で市民革命が勃発する。市民革命はヨーロッパの社会構造を変え、ブルジョワジーがより勢力を増した。市民社会の発展につれて人や物の行き来が盛んになり、19世紀に入って蒸気機関車や蒸気船が普及すると遠方への大量輸送が可能になる。旅行はさらに一般化し、旅に出る際に化粧道具といった身だしなみを整えるための品を収めるトラベリングケース(キーワード参照)が出まわった。
 20世紀になると自動車の時代が訪れる。ドライブなどに携帯しやすいミニマムな化粧道具への需要が高まり、コンパクト(キーワード参照)やスティックタイプの口紅が開発された。1914年から、第1次世界大戦で多くの男性が出征し、不足した労働力を補うため女性の社会進出が進む。彼女たちの間で、外出先で簡単に化粧直しができるコンパクトやリップスティックが大ヒット。化粧道具の代表的存在になっていった。
旅行する際、化粧道具や衣装を収めて携帯したトラベリングケース。2段式で、上段に化粧道具を収めるスペース、下段に衣類を収納するためのスペースが設けられている。

キーワード Click
パッチボックス
 パッチとは黒のフェルトやサテン、タフタや紙でつくられたつけぼくろのこと。16世紀末に登場し、18世紀に隆盛を極めた。パッチボックスとは、パッチやパッチをつける道具を持ち運ぶための専用ケースのことである。肌の白さを引き立てたりシミを隠すための化粧としてブームになったパッチは、流行するにつれ貼る位置と形によりメッセージ性を持つようになる。たとえばハート形パッチを左頬につければ婚約中、右頬につければ既婚を意味したという。メッセージを保つため、パッチが取れたらすぐにつけ直す必要があり、貴族にとってパッチボックスは必需品になった。
トラベリングケース
 トラベリングケースとは、旅行に必要な衣類や化粧道具などを収納するためのケース、あるいは鞄のこと。トラベリングケースの中身は女性用と男性用で若干違いがあったが、共通して鏡、ヘアブラシ、服ブラシ、化粧容器などがセットされていた。
 トラベリングケースが一般化したのは、17世紀末頃からと考えられる。当時イングランドでは学業を終えた貴族や上流階級の子息が国外へ旅行するグランドツアーが盛んになり、その際トラベリングケースを使用するようになったという。19世紀になって多くのブルジョワジーが旅をするようになると、トラベリングケースが一般にも普及していく。また、旅の移動手段が大型の船から収納スペースの狭い汽車、自動車、飛行機へと変化するにつれ、トラベリングケースは小型化された。
コンパクト
 コンパクトとは、持ち運びやすいスリムなケースにメイクアップ化粧品と鏡、パフやブラシなど付属品をセットしたものを指す。
 コンパクトの先駆けとなったもののひとつは、1913年にフランスのパルファムメゾンであるウビガン社が、パリのオペラ座のプログラムに広告掲載した“宝石のように美しい極薄ケース入り”圧縮パウダーの小箱である。当初はヴァニティケースという表現もされたが、流行とともにコンパクトの名称が定着した。また、コンパクトの流行で、これまで私室で密かに行っていた化粧直しが、批判の声を受けつつも人前で行える行為となる。人に見せることを意識し、華麗な装飾を施したものも登場し、コンパクトは20世紀の女性の社会進出を象徴するアイテムとされた。
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関連項目
リップスティック、チーク、香水、パフ
※次回のテーマは、「パール剤」です。

取材協力:
ポーラ文化研究所 津田紀代

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